Oct 08, 2010

近くにあった自己破産

友達の兄夫婦が自己破産しました。近くにそのようなことだと考えることもなかったのでびっくりしました。きちんと仕事をして世の中普通の収入もあるのに、なぜ自己破産をしていることと、妻の浪費癖が原因でした。バブルの頃と同じ感覚でお金を使っていました。専業主婦なのに贅沢三昧の生活、自己破産。結局、その後も反省していないようです。
借金でどうにもならないがなくなった場合、自己破産を考えるかもしれないが、その前にどのような整理を検討してみましょう。任意整理はあくまで債権者の任意の議論なので、自己破産程度の強制力はありません。しかし、裁判所のような身分になるわけではないので自己破産よりも任意整理を考えなければならないかもしれません。
 データ・ドリブン(駆動型)というと、「ソフトウエアにデータを入れれば解決案が自動的にアウトプットされる」魔法の箱があるように、過度に期待される節がある。確かに、大量ログデータを解析するデータマイニングは、売上向上に対して今までにはない即効的な効果を発揮する。しかし、データ分析が注目されるあまり、数字が単なる数字にしか見られないようになった時、ゲームを楽しむ顧客ひとりひとりに思いをはせるサービスの本質から遠ざかっていかないかと、筆者は危惧する。

【ソーシャルゲームにおける日本型データ・ドリブンのあり方とは(後編)】

 最近、「データ・ドリブンで一番効く変数はどれですか?」と聞かれることが多い。しかし、「これさえ押さえればすべてOK」という万能薬のような変数があるわけではない。ソーシャルゲームで扱う変数は、ユーザーがゲームをプレイする行動1つ1つであるから、ゲームの種類によってさまざまである。例えば、育成系なのかバトル系なのかによって、実際に測定する変数は違ってくる。

 大事なのは、単発的な解答を知ることではない。データから意味のある改善策を得るまでのプロセスが大事なのである。「データ・ドリブンの本質は、分析手法よりむしろ分析を実現する組織体制にある」と筆者は考える。

 そもそも、ゲームの面白さの勘所が分からずに、最初に設定する問題自体が検討違いであれば、その後にどんなに高度な数理モデルを使っても、算出される結果は検討違いのものになる。数学や統計の専門家は、計算過程の精緻性に長けているが、問題設定の適切性については判断できない。だから、実際に開発と運営に携わり、ユーザーの遊び方を見ている担当者とどれだけ連携がとれるかが、データ分析の精度を決めることになる。

●データの大海で迷わないために

 それにしても、ソーシャルゲームで扱う変数は際限ない。チュートリアルの何ステップ目をクリアしたか、どのユーザーと戦って結果はどうであったか、何のアイテムをいつ購入したか。ユーザーのゲーム内行動の1つ1つが分析対象となるからだ。さらに、それらの変数間の総当たりの組み合わせを考えると、気の遠くなる分析工数になる。

 そこで筆者が提案するのは、2つのアプローチである。1つは、ソーシャルゲームのあるべき姿、つまり理想形を念頭に置くことである。理想と現実とを比べることで、何をすべきかその方針を立てやすくなる。これは前回のコラム(「ソーシャルゲームにおける日本型データ・ドリブンのあり方とは(前編)」)で説明したことである。

 もう1つのアプローチは、データの全体像を把握することで、膨大なデータの中で迷子にならないように方向感覚を付けることであり、これが今回のテーマである。

●KPIの変動分析とゲーム内分析

 ソーシャルゲームのデータは、売上高に影響する指標(KPI=Key Performance Indicator)とゲーム内行動に大きく分けられる。

 基本となる指標は、新規獲得ユーザー、アクティブユーザー(AU)、課金ユーザー(PU)である。これらの数値を日次あるいは月次で比較する変動分析が、データ分析の出発点となる。

 例えば、前月と比べて新規ユーザーの伸びが鈍化していれば、プロモーションに力を入れるべきであると分かる。アクティブユーザーは伸びているのに課金ユーザーが少なければ、有料アイテムの設定などマネタイズ部分に問題があると分かる。KPIの変動分析で、およその問題点を知ることができる。

 それに対して、ユーザーのゲームのプレイ履歴から得られるデータは、具体的な解決策を導くものである。

 例えばバトル系のゲームならば、バトル回数、勝った回数と負けた回数(勝率)、仲間に助けられた回数、バトル相手とのレベル差といった、ゲームの仕組みそのものを表す変数である。勝つばかりのバトルもつまらないが、負けてばかりもやる気がそがれる。ちょうど良い勝率や難易度にコントロールすることで、ユーザーの白熱を引き出すことができる。

 ゲーム内でのアクションを1つ1つ拾っていくと、分析対象となる変数は数多くなる。そこで、その中から重要な変数を統計的に洗い出すのにデータマイニングの手法が使われる。アクティブ率(AU)や課金率(PU)に影響する変数を見つけることが目標となる。

●ゲーム内分析の限界

 ゲーム内分析は、ユーザー行動を分析することで、ゲームを面白くするための改善点を知るものである。具体的な改善策に結び付く即効性が魅力である。ソーシャルゲームでは、分析結果を受けて毎日ゲームに改変を加えていくことも珍しくない。

 ただし、ゲーム内分析にも限界がある。第一の限界は、詳細な分析を繰り返すうちに、近視眼的な分析に陥る危険があることである。1つの改善がさまざまな波及効果を生むことが、えてして見落とされる。

 例えば、「バトルの難易度を高くすれば、戦況が有利になる有料アイテムが売れる」と仮説を立て、バトルの難易度を上げるチューニングをしたとする。しかし、負けたくないと思って課金をする人もいれば、嫌気がさして離脱してしまう人も出てくる。確かに仮説通りに課金率も変化するだろうが、反対にアクティブ率にも悪影響が出てくる。

 さらに、勝率の変化は、アイテム流通に変化を及ぼし、有料アイテムのありがたみも変わってくるだろう。そのことで、客単価に影響が出るかもしれない。あるいは、ユーザーバトルを回避して1人でできるクエストが多くプレイされるようにプレイスタイルが変化し、このことがゲームの寿命に影響するかもしれない。

 こうした複合的な効果をすべて追うことはできないが、できるだけ多角的に見ていきたい。分析に精を出すほど、分析対象のデータだけに集中し、どんどん枝葉の改善に陥ってしまう危険がある。

 第2の限界は、ゲーム内分析によるチューニングは、現状の改善にはなるが、そもそも実装されていない不足点について知ることができないことである。課金が伸び悩むのは、果たしてバトルシステムのバランスだけに起因するのだろうか。

 筆者は、携帯のバトル系のソーシャルゲームをいくつか同時に始めたことがある。どのゲームもバトルは白熱したし、クエスト成功やバトル勝利のときに表示される効果画面も派手で心地よく、何となく癖になるものであった。それでも何日かすると、頻繁にアクセスするゲームと、どうしても遠のいてしまうゲームとに分かれていった。

 それは、同じ日に始めたにも関わらず、友人の作りやすさがゲームによってかなり違ったからだ。チームを組む仲間作りという設定自体はどのゲームにもあったが、仲間申請の通りやすさや、仲間になった後のメッセージの盛り上がりという、ソフトの部分がまるで違っていた。筆者の場合、バトルの勝敗よりも、メッセージをくれる仲間がいるので何となく「切れない」と感じてしまったことが大きい。

 この場合、問題はバトルシステムではなくソーシャル部分の設計になる。こうしたソフトの部分は、意外と問題の根が深い。現システムのチューニングでは対処しきれず、企画・開発の段階にさかのぼらねばならないかもしれない。

 なぜユーザーが離脱するのか、なぜ課金が伸び悩むのか、その理由はさまざまである。だから、当初の問題設定を狭くしすぎると、解決できない領域が残ってしまう危険がある。

●問題発見のための時系列分析

 ゲームの行動変数を直接に操作するゲーム内分析は、すぐにゲームシステムの改善案に結び付く点は強力であるが、広角からみた問題発見という意味では限界がある。

 そこで、KPIをマクロ的にみる変動分析とゲーム内分析との間を埋めるものとして、「ユーザーのプレイ時間や進捗に合わせた時系列分析」が注目される。時間はすべてのユーザーに平等な要素である。これを基軸にして、ユーザーがどのような行動をとっているか、グラフ化するのである。

 図にあるように、横軸にとるのは、時間や進捗を示す変数である。横軸を単純に日付としなかったのは、時間概念にもバリエーションがあるからである。ゲームへのアクセスを示す変数として、登録からの日数、総ログイン時間などがある。さらにゲーム内での進捗を示すものとして、ゲームレベル、クエスト進行度などがある。

 それに対して、縦軸はユーザーの活動度合いを表す。ログインの有無やログイン頻度など、行動の活発さを示すあらゆる変数である。要は、ゲームへの熱中と関与の度合いを可視化するのである。こうした図を作ることで、ユーザーがはまるポイント、その反対の離脱ポイント、そして課金ポイントが明らかになる。

 図に示したアクティブ率のグラフは、ゲームへログインをした人の割合を時間軸に沿ってまとめたものである。例えば、レベル3から4に移る時にアクティブ率が大幅に下がっていれば、ここが離脱ポイントとなる。そこで、レベル3から4の部分に集中してゲーム内分析をすればよい。特定のクエストが難しかったり、時間を要するために離脱しているかもしれない。あるいは、友人がいなければ先に進めない設計なのに、レベル3では友人を集めるのに十分な猶予がないのかもしれない。

 同様に課金ポイントを知ることができる。例えば課金率10%というと、一律に確率が決まっているように思われるかもしれないが、時間軸で見てみると課金率にもバラつきが表れる。レベル分布やログイン時間別にユーザーを分けてみることで、課金に至る確率と要する時間を知ることができる。

 概して、長くゲームを続けるユーザーほど課金率は高いが、課金に至るまでの時間をどう設定するかは、かなり微妙な問題となる。資金回収の面からは、課金ポイントは早ければ早いほどよいかもしれない。しかし、あまりに早いタイミングにすると早く飽きがきてしまう。課金とはユーザーの熱中や満足度を金銭に変えることなので、早く払い出しをしてしまうと、その熱意が後に続かなくなるのだ。こうした調整をするのにも、時間軸に沿ったデータを丹念に見ていかねばならない。

●数字の羅列からユーザーひとりひとりを感じる

 筆者が考える究極のデータ分析は、データの固まりからユーザーひとりひとりを意識することである。ヒットの目標として100万MAU(月間アクティブユーザー)という数字が挙げられることがあるが、この数字の裏には100万人の体験と思いがあることを忘れてはならない。

グラフ:ユーザー全体の様子をイメージするためのアプローチ
(http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1110/25/news010.html)

 筆者は、以前のコラム(「ソーシャルゲームユーザーは、いつ財布を開くのか――顧客満足度とマネタイズの関係」)で顧客満足度曲線について述べた。

 あるゲームを始めてから止めるまで、ユーザーの感じる満足度は平たんではないことを示すグラフである。実際に100万人の満足度曲線を描くことは現実的ではないが、理念的にはひとりひとりの満足度曲線が束となって集まった結果が、MAUという指標につながっていることを意識したい。

 例として、日次のアクティブ率(DAU)のカウントについて考えてみよう。各ユーザーのログイン時間を毎日追っていくと、顧客満足度曲線ならぬログイン時間曲線をひとりひとりに描くことができる。これを、全ユーザー分集約するとDAUとなる。まず、ログイン時間の長短は省略して、ログインの有無だけを示すデータに要約をする。そして、ある1日に“ログイン有”のユーザーが何人いるかをカウントし、全ユーザーに占める割合を計算する。KPIの変動分析では、この値が昨日と比べてどのように増減しているかをウォッチする。

 しかしながら、DAUとひと言でいっても、登録して1日目のユーザーもいれば3カ月目のユーザーもいる。ゲームに対する期待度や没入度も、時間の経過によってかなり変わるはずだが、そういう個々のユーザーの事情は一切排除される。いわば、ある時点における“輪切り”のデータなのである。

 つまり、KPIはすでに加工が施された数字なのである。そこを意識せずにKPIにさらに加工を施すような分析をしていくと、だんだんと何を分析しているのか実感が持てなくなる。それが、数字を数字としてしか見ない、サービスから離れたデータ分析という問題を生む。

 医者がCTなどの断片的な画像でもって立体的な臓器を診ることができるように、日々のKPIという輪切りのデータからユーザー全体の様子をイメージできるようになりたい。医学の素養を持った上で画像を見るように、ソーシャルゲームのサービス構造を理解した上でデータ分析にあたるべきである。

 ソーシャルゲームのサービス構造の要点は、登録からの時間経過のなかで、心理状況や行動の変化をユーザーに引き起こすことにある。最初はその気がなかったのに、いつの間にか熱中し、課金をしてまでプレイをするようになるのである。数百万人にのぼるユーザーの心理変化を推し量るサービスを実現するには、時には細部に立ち入り、時には全体を俯瞰するように、柔軟に焦点を切り替えてデータをみる力が欲しい。

[野島美保,Business Media 誠]


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